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2013年1月

エスカレーターの輸送効率を考える

エスカレーター、歩く?歩かない?

年末にTwitterでエスカレーターの片側を歩行者の為に開けている事(というかエレベーターを歩く事)についてちょっとした会話(Togetterまとめ)をしました。

エスカレーターで歩く人のために片側を空けておく習慣って皆様どう思いますか?僕はアレ、実はやめた方がいいと考えています。何故かというとあんまり効率的じゃ無いからです。

元は、朝夕のラッシュ時に急いでる人の為に片側を空けておくという習慣だったと思います。激しいラッシュの時間帯の場合、立ち止まってる方も、歩いている方もそれなりに人が詰まってますからエスカレーターの輸送量は落ちません。というか、きっちり詰めて(ぶつかったりせずに)歩いて居れば輸送量は上がります。効率的でいいですね♪

が、そんなに混んでない時間帯はどうでしょうか?例えば、歩いて居る側の人がエスカレーターが進む速度と同じスピードで歩いてるとして、歩いて居る人が減ってきてステップの半分以下しか埋まらなかったら、この場合輸送量は増えないわけです。

最近ではエスカレーターで歩きたくない/歩かない人が片側を空けて行列を作っているのに、右側はがら空きでエスカレーター上で歩いて居る人が2~3人しか居ない、酷いときは誰も歩いてないなんて状況があります。

これは非常に非効率的かつ非合理的です。元は急いでる人も、そうで無い人もお互いに融通し合って、効率良くエスカレーターを利用するための"ルール"だったはずなのに、これではごく一部の来るか来ないか分からない歩く人の為に大部分の人が我慢して列を作っているということになってます。変な話ですよね?これ。

というわけで、そもそもエスカレーターを歩くって言うのは輸送効率の面からどうなの?と考えてちょっと計算してみました。

エスカレーターの輸送量を計算してみよう

さて、ではエレベーターの輸送量をどうやって考えればいいのでしょうか?

例えば、1秒ごとに1段を送り出す、2列人が乗れるタイプのエスカレーターを考えて見ましょう。びっしり2列、1段も飛ばさずに上から下まで人が乗っている状態がずーっと続いている場合を考えるとこのエレベーターの輸送量は2人x1段/1秒なので、1秒間に2人ということになります。

1分間だと120人です。

この状態だと、フローで考えれば良いのでエスカレーターの長さが30段で30秒かかるエスカレーターでも、100段で1分40秒かかるエスカレーターでも変わりません。単位時間当たりにエスカレーターから出てくる人を数えれば、それがそのエスカレーターの輸送量であると考えて居るからです。

でも、エスカレーターってびっしりと全ての段に人が乗っていることって無いですよね?混んでいても大抵は大きな荷物を持っていたり、乗り損ねたり、前の人とあまりくっつきたくなくて、空いている段があるものです。

では、現実的に考えて4段に1段は人が乗っていない段があると考えましょう。物理的に乗り込める人数に対して、どのくらい乗っているかの割合を乗り込み率というそうです。この場合は5段のうち4段にしか人が乗ってないので、乗り込み率は80%ですね。というわけで、上の数字に80%つまり0.8をかける必要があります。

2人x1段x0.8/1秒 = 1.6人/秒

1分間だと96人になります。実際には、エスカレーターの速度は0.8秒/1段程度が多いようです。この数値は年末年始は休みだったので、出かけるたびにあちこちのエスカレーターで実測してきました。不審者として職務質問を受ける事が無かったのは幸いです(笑)

ちなみに高速運転のエスカレーターだと、0.6秒/1段というのもありました。

というわけで、0.8秒/段で計算してみると、

2人x1段x0.8/0.8秒 = 2人/秒

つまり、1分で120人というのが標準的なエスカレーターの満載状態の輸送量ということになります。(追記:日立のエスカレーターカタログによると、公称輸送能力というらしいです。)

歩くと輸送量はどうなるの?

では、エスカレーターに乗っている人が歩いて居る場合の輸送量はどうなるでしょうか?
この場合、エスカレーターの速度とステップを昇る速度を足し算して、1秒当たりどのくらいになるのかを考えればOKです。

では、歩く速度をどのくらいに設定しましょうか?人は早足で歩くときは、大体1分間に120歩程度で歩きます。(自分の万歩計のデータからの経験値です。)急いでるときは階段も同じようなペースで昇ります。

でも、混雑しているエスカレーターを歩くときはそんなに速くは昇れないですよね?前もつっかえてますし…

というわけで、上記から12%ほど遅くして0.6秒/1段で歩いて居ると仮定してみましょう。これでもエスカレーター上ということを考えると、かなり速めの速度です。

もうひとつ考慮すべき点があります、それは歩いてエスカレーターを乗るときは立ち止まっているときより、ステップに乗っている人の密度が下がると言う事です。つまり乗り込み率が下がります。全ての段に人がみっちり乗っている状態で、歩いたら躓いたり、ぶつかったりしちゃいますよね?普通は1段おき以下、つまり50%以下の乗り込み率になるものです。

という事で、ここでは歩いて居る場合のエスカレーター上の人の乗り込み率は立ち止まってる場合の半分と考える事にします。上で立ち止まっている場合を0.8としているので、歩いて居る場合は0.4になります。

ふう、思ったより長文になっちゃったなぁ(´・ω・`)

というわけで、2列幅のエスカレーターで1列はびっしり人が乗っていて、1列は歩いて居る場合の輸送量は、

止まってる人の分
1人x1段x0.8/0.8秒 = 1人/秒

歩いて居る人の分

合成速度が、1/0.8 + 1/0.6 = 15/12 + 20/12 = 35/12 = 2.9166…

1人x1段x0.4x35/12 = 1.166666…

合わせて、2.1666666…人/秒となります。お、ちょっと増えてますね。ちなみに1分間で計算するとちょうど130人/分となります。130/120なので、約8.3%輸送量が増えた事になります。

高速エスカレーターだと変わらない

さて、それでは0.6秒/段で運転している高速エスカレーターの場合はどうでしょうか?

0.8の乗り込み率で人が2列とも立ち止まって乗っている場合は、

2人x1段x0.8/0.6秒 = 2.6666…人/秒

60秒をかけると160人/分です。では、このエスカレーターで1列は人が歩いて居るとして計算するとどうなるでしょう?

止まってる人の分
1人x1段x0.8/0.6秒 = 1.33333…人/秒

歩いて居る人の分

合成速度が、1/0.6 + 1/0.6 = 1/0.3
1人x1段x0.4x0.3 = 1.133333…人/秒

合計すると、2.6666…人/秒となってこれが全く増えないんです(´Д`;)

ちなみに、0.6秒/段というスピードで混んでいるエスカレーターを歩くのはちょっと難しいですね。普通は、0.8秒/段とかそれ以下くらいの速度になるとおもいます。その場合は片側で一生懸命歩いて居る人達が居るにも拘わらず、エスカレーターの輸送量は減ってしまうのです(´・ω・`)

では、そんなに混んでないときは?

本当に長文になったので、計算は省略しますが歩いて居る人の乗り込み率が0.34を下回ると0.8秒/段のエスカレーターでも輸送量が減ります。

歩いて居る人がほとんど居ない状態なら言うまでも無く、輸送量激減です。

まとめ

長くなってしまいました、ここまで読んでくれる人が居るのか大変に心配です。

とにかくまとめましょう(`・ω・´)

  • 標準速度のエスカレーターで、理想的に詰めて1列歩くと輸送量は8.3%増える
  • 高速エスカレーターの場合は、1列が頑張って歩いても輸送量は増えないかやや減ってしまう
  • 歩いている人の乗り込み率が0.34以下になると、標準的なエスカレーターでも輸送量は減ってしまう

となりました。どうでしょう、エスカレーターで歩いても思ったより輸送量は増えない物です。というか、普通に2列詰めて乗った方がたいていの場合は輸送量が稼げる=駅の混雑緩和に役立つと考えられます。

みなさん、エスカレーターで歩くという習慣はやめましょう。

ちなみに、本当に急いでるときは階段を駆け上がった方がもちろん早いです。んで、階段を駆け上がるより早く目的地に着く方法があります。1本早い電車に乗る事です。間違いありません。

追記 2013-01-04 15:25

文章を若干、推敲&校正しました。

togetterのコメントで、2列でびっしり乗ったら安全上問題があるのではないかという、ワンフェスの事故を念頭に置いた指摘を頂いたのでちょっと調べてみました。

先ずはメーカーのカタログを見てみましょう。

30m/minで定格輸送量9000人/hr、つまり150人/minですね。ステップの奥行きは40cmと考えて良さそうなので(機会があれば実測してきます)、1分間に進む段数は75段になるので1段に付き2名。つまりメーカーカタログによると、1段に2名を100%乗り込み率の定格乗員として見積もっているという事ですね。

日立のカタログによると、実際には公称の輸送力フルは無理で乗り込み率をかけた値となり駅のラッシュ時で80%、通常は50%程度とのこと。また、別ページには重負荷仕様の電動機を付けて80%乗り込み率で10分の連続運転が可能ともあります。

つまり、公称輸送能力には強度的に耐えられるけどモーターの能力から考えると80%以上の乗り込み率で長時間の連続運転は無理、ということのようです。
駅に設置してあるエスカレーターは当然重負荷仕様になってると思うんですが、80%乗り込み率で10分っていうと、電車の到着時等に間欠的に混雑する駅ではこの仕様で問題ないのかもしれません。(新宿や池袋などの大きなターミナルステーションでは、別途対策がしてあると思われます)

ワンフェスの場合はほぼ100%乗り込み率で長時間運転してモーターが耐えられなくなり緊急停止→何故かある程度余裕があるはずのブレーキ加重を超えて滑ったということ何じゃないでしょうか。後述しますが、安全装置作動時は安全率が低くなってるのも気になるところです。カタログの書きっぷりからすると、公称輸送能力で運転を続けたら、止まっちゃうところまでは想定内と考えられます。

いずれにしても、乗り込み率80%で程度で使われるというのはカタログにも書いてある事なので、少なくともメーカー側から見れば想定内の使われ方であるという事は判ります。

さて、別の指摘では法律で定められた最低荷重の規定は1m幅のエスカレーターでは106kg位なので、1段に2名は乗りすぎ何じゃないか?というのがありました。

法令を調べると建築基準法施行令 129条12の3がそれのようです。(令とあるので、これ多分法規じゃ無くて、省令ですね)2600N x ステップの水平面積(平方m)とされています。
分かりにくいのは、あくまでステップにかかる荷重の数値であって、強度はこの数字に安全率をかけて計算する必要があります。同 124条4の2がそれですね。この安全率は三菱電機の資料の中で見つかりました。通常時は3.0、安全装置作動時は2.0となっています。

エスカレーターのステップの幅は、2列乗れる物で1002~1004mm程度つまり1m、奥行きは40cmとして計算すると、法規上で規定されている加重は2600Nx1x0.4なので1040Nつまり約106kg重ですね。

通常運転時の安全率は3.0なので、強度はこの3倍の荷重に耐えなければならず、106x3つまり、318kg/ステップの強度が必要というわけですね。これだけの強度があれば、取りあえず1ステップに2名は問題なさそうです。

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